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アンケートをつかった成果につながるウェブサイト改善と運用法

 
Writter:山田 修史
2024.01.04
アンケートをつかった成果につながるウェブサイト改善と運用法のアイキャッチ画像

今回はアンケートを使ったウェブサイト改善と運用法のお話

ウェブマーケティングは企業にとって非常に重要な位置を占めていますが、必ずしもすべてのウェブ担当者がマーケティングの専門知識を有しているわけではありません。

多くの企業でウェブ担当者はマーケティングだけではなく、他の業務も兼任しているのが実情です。

ウェブの重要性を認識している企業でさえ、専任のウェブ担当者を配置しているところはまだ少ないのが現状です。

このような状況でウェブサイトを改善しながら運営し、成果を出すことが求められています。

リスキリングとしてウェブマーケティングは近年注目を集めていますが、兼任するウェブ担当者にとって新しいスキルを学ぶ時間を確保することは難しい現実があります。

この記事を通じて、マーケティングの専門知識が乏しい方でも、お客様の声を利用して限られた時間の中でウェブサイトを成果に繋げる改善と運営方法を学ぶことができます。

主要なフレームワーク及びウェブマーケティングに関する知識

ウェブマーケティングでは、多岐にわたるスキルと知識が求められます。以下はその一例です。

  • 3C分析
  • 4P分析
  • SWOT分析
  • カスタマージャーニー
  • ペルソナの設定
  • 検索エンジン最適化(SEO)
  • 検索エンジンマーケティング(SEM)
  • コンテンツマーケティング
  • ソーシャルメディアマーケティング
  • セキュリティ対策
  • インフルエンサーマーケティング
  • メールマーケティング
  • データ分析
  • 動画マーケティング
  • ユーザーエクスペリエンス(UX)とユーザーインターフェース(UI)
  • プロジェクト管理

これらすべてのスキルと知識を一度に習得しようとすると、圧倒されてしまうかもしれません。

特に、ウェブ担当者が他の仕事も兼任している企業においては、限られた時間の中でオンラインスクール、ウェブセミナー、書籍などを駆使して広範なウェブマーケティングの知識を習得することは難しい挑戦となっています。

そのためウェブサイトの改善は手が付けられずに、運用が事例に写真だけをアップしたり、ブログの更新にとどまり、今日のランチだとか、ニュースの感想だとか、同僚の日常の出来事を書き綴ることで表面的な対応をしているケースが多いのではないでしょうか?

ユーザーが企業のウェブサイトに求めること

成果を生み出すウェブサイトに改善できる運用を実現するためには、ユーザーにとって必要不可欠な情報を提供し、商品やサービスを比較し意思決定する際の決定的な情報を提供できるか、また、購入や申し込みがスムーズに行えるかという点が重要です。

企業にとってのウェブサイトの役割

多くは企業側の都合で言いたいことや強調したいことを掲載しがちです。

  • 情報提供 
  • マーケティングや販売促進 
  • 顧客とのコミュニケーション 
  • ブランドイメージの構築 
  • 採用活動 
  • データ収集分析

など多岐にわたります。

ユーザーから見た企業のウェブサイトの役割

一方で、ユーザーが企業のウェブサイトに期待する役割はシンプルです。

  • ユーザーにとって必要な情報があるか
  • 商品やサービスがユーザーの役に立つか
  • 購入や申し込み手続きを迷わずユーザーができるか

です。

企業がウェブサイトを利用して情報提供やマーケティングを行うことは非常に重要ですが、それと同時にユーザーの立場に立って、ユーザーが求める情報やサービスと一致させることが不可欠です。

何をどうしたらよいかわからないウェブ担当者に、おススメしたい手法

ユーザーが求める情報やサービスに適合させることは不可欠であり、シンプルな方法として購入や申し込みを行ったユーザーに直接聞くことが効果的です。

これらはユーザーの意見を直接聞く有効な手法ですが、調査方法によってはコストが高くなったり、時間がかかったりするなどの負担が生じることがあります。

また、外部の専門業者に委託することができない場合、何を聞いてどのように分析すれば良いのかが分からないこともあるでしょう。

  • アンケート調査
  • デプス調査(デプスインタビュー)
  • ユーザビリティテスト
  • カスタマーサポートからのフィードバック収集

ユーザーの購買行動(申込行動)がわかるアンケート

自社で実施をするのであればお勧めしたいのは、「A4」1枚アンケートというお客様アンケートを活用し、販促や広告に役立てる手法です。

ウェブ担当者が独自に考える必要はなく、ユーザーに直接尋ねてフレームワークに落とし込むというシンプルな手法です。

お客様アンケートをすでに取得しているところも多いため、通常の仕事のフローの延長線上で実施することが可能です。

一種のフレームワークとなりますが、応用が利くため、様々なシチュエーションで利用することが可能です。

「A4」1枚アンケートは、販促コンサルタントの岡本達彦氏によって開発された手法です。

以下の2冊には事例や詳細情報が記載されておりますので、興味のある方はぜひお読みください。

・「A4」1枚アンケートで利益を5倍にする方法

・あらゆる販促を成功させる「A4」1枚アンケート実践バイブル

私は岡本氏から「A4」1枚販促アンケート広告作成アドバイザーとして認定され、実践バイブルには私の成功事例も掲載されています。

「A4」1枚アンケートとは

購入してくれた(申し込んでくれた)お客様からのアンケートをもとに販促物を作成する、というシンプルな手法です。

主にチラシの作成手順ですが

集めたお客様アンケートを分析

基本コンセプトを作成

広告の原案を作成

広告のラフ案を作成

手順それぞれにフレームワークがあるので順番に作成するだけでチラシが出来上がります。

この方法のポイントは、お客様アンケートから直接作成するため、自分で一から考える必要がないことです。

マーケティングや広告の専門知識がなくても、「A4」1枚アンケート方式に則ったお客様アンケートをフレームワークに沿って分析し、広告に活かす要素を作り出すことが可能です。

アンケートを基に販促物を作成すると、アンケートに回答した人と同様の属性を持つ人々を集客できます。

そのためアンケートを実施する際の対象者は、製品やサービスを購入(または申し込み)して満足している顧客やロイヤルカスタマーにすると良いでしょう。

アンケートの設問

購買行動がわかる5つの質問が基本です。

リアルなユーザーの購買行動を知ることでウェブサイトの反応率を上げることが可能です。

Q1:(商品名)を買う前に、どんな事で悩んでいましたか?

Q2:何がきっかけでこの(商品名)を知りましたか?

Q3:(商品名)を知ってすぐ購入しましたか?しなかったらなぜですか?

Q4:何が決め手となってこの商品を購入しましたか?

Q5:実際に使ってみていかがですか?

悩みや欲求発生を知る質問

Q1(商品名)を買う前に、どんな事で悩んでいましたか?

Q1の設問では、ユーザーの抱える問題や欲求の発生を把握するための質問を行い、商品やサービス利用前の状況を知ることができます。

質問を「どのようになりたいですか?」と変更することで、ユーザーの願望を知ることが可能です。

商品やサービスの特性に合わせて、質問文を調整することが重要です。

このアンケートにより、商品やサービスに喜んでくれるターゲットユーザー層の意見が明確になり絞り込むことができます。

これを利用して、トップページのターゲットコピー、ウェブサイトやランディングページのアプローチ方法を決めることができます。

さらに、複数の悩みを列挙して「こんなお悩みありませんか?」というセクションにも活用できます。

購入者やサービス利用者の生の声は、潜在的な顧客の共感を呼び、ペルソナ分析では得られないユニークな表現を引き出す可能性があります。

ここで重要なのは、ユーザーが「これは私のことだ」と感じるような共感を引き出すために、ユーザーの回答をできる限り原文のまま利用することです。

情報収集先を知る質問

Q2何がきっかけでこの(商品名)を知りましたか?

Q2の質問では、ユーザーが商品やサービスをどこで知ったかを尋ねます。

チラシ、雑誌、ウェブサイト、SNSなど、情報をどこで収集したかを知ることで、強化すべき販促の媒体を特定できます。

ウェブサイトからのコンバージョンがあった場合は、可能ならば追加のヒアリングを行うことが望ましいです。

複数のウェブサイトやランディングページを運営している場合、電話での対応をしている場合など、どのサイトからのアクセスかが曖昧になることがあります。

可能であれば、検索窓に入力されたキーワード(検索クエリ)を深掘りすることをお勧めします。

コンバージョンにつながったキーワードを把握できれば、検索順位の改善、コンテンツの追加や改善、リスティング広告へのキーワード入稿や広告文の反映など、ウェブのマーケティング施策の改善に役立てることができます。

購入(申込)前の不安を知る質問

Q3(商品名)を知ってすぐ購入しましたか?しなかったらなぜですか?

Q3の質問を通じて、ユーザーが購入(申し込み)をためらう理由、すなわち購入(申し込み)前の不安要素を把握できます。

ウェブサイトのコンバージョンを向上させるためには、これらのユーザーの不安を解消することが欠かせません。

商品やサービスを利用しようとするユーザーが持つ可能性のある

  • 不安要素
  • 不満点

を理解し、改善策や対応策を明示することで、

  • 信頼性
  • 安全性
  • 理解のしやすさ
  • 問題解決

を提供し、サイト離脱者をコンバージョンに繋げるべきです。

返金保証や試用オファーは理解しやすい対応の一例ですが、

  • 実店舗の有無→店舗の外観写真を掲載
  • 駐車場の利便性→駐車場の写真を掲載
  • 予約の取りやすさ→予約情報を目立つ場所に掲載

など、事業者にとっては当たり前の情報でも、ユーザーには伝わっていないケースがあります。

この質問の回答は、よくある質問(FAQ)ページの更新にも役立ちます。

よくある質問(FAQ)ページは、ウェブサイト公開後に更新されないことが多いですが、Googleアナリティクスなどでコンバージョンユーザーが閲覧したページを確認すると、一定数のユーザーがよくある質問(FAQ)ページを参照していることが分かります。

よくある質問(FAQ)ページは、ユーザーの不安を解消し、他のコンテンツへの誘導につながるため、定期的に更新が必要な重要なページです。

コンバージョンに至ったユーザーの不安とその回答をよくある質問(FAQ)に加えることで、いままでサイトを離脱していたユーザーをコンバージョンに繋げていきましょう。

購入(申込)の決め手を知る質問

Q4何が決め手となってこの商品を購入しましたか?

Q4の質問を通じて、ユーザーが感じる商品やサービスの強み、つまりその独自の売りや価値を知ることができます。

商品やサービスの売りは、事業者が考えるものとユーザーが感じるものとで、しばしばズレが生じます。

重要なのは、ユーザーにとって本当に価値のあるウリを見つけることです。

伝わっていないウリを一生懸命宣伝しても効果はありません。購入の決め手となるウリをアピールすることが肝心です。

決め手となるウリは、特に比較検討しているユーザーに読んでもらいたい内容なので、よく読まれるページや商品やサービスを紹介するページに掲載すると良いでしょう。

複数の決め手がある場合は、「選ばれる理由」のセクションにまとめるなどして活用が可能です。

ユーザーに伝わる強みを通じて、コンバージョンへの決断を促しましょう。

この質問はとても重要で、アンケートを取るのが難しい状況や時間がない場合は、決め手だけを口頭で尋ねることを推奨します。

私たちの会社では、電話での問い合わせの際に、「他にも同様の会社がある中で、何が決め手となってお電話いただいたのですか?」と尋ねることをルール化し、社内で共有しています。

決め手となった点を運用チームで確認し、より多くのユーザーに見てもらえるよう改善を続けています。

利用後の良さを知る

Q5実際に使ってみていかがですか?

Q5の質問を通じて、商品やサービスを利用した後の良い点を把握することが可能です。

多くのお客様アンケートやレビューは、利用後の感想を集めることに重点を置いています。

お客様の声ページやレビューとして掲載をすることが多いです。

これらの回答を分析することで、提供されているメリットが効果的に伝わっているかを確認できます。

満足の声には、ユーザーにもたらされる具体的な利益や価値がしばしば記述されています。

これにより、伝えるべき商品やサービスが持つユーザーベネフィット(顧客に提供する具体的な利益や価値)を理解できます。

ユーザーベネフィットは、商品やサービス選びの際に重要な決定要因となるため、キャッチコピーなど目立つ箇所で強調することが推奨されます。

「A4」1枚アンケート形式ではなく、すでにお客様アンケートやユーザーレビューを実施している事業者は、利用後の良さの分析を優先して進めることも有効です。

ただし、商品やサービスが解決する悩みや願望を予測して行うことが重要です。

ユーザーの視点に立ち、悩みや願望とユーザーベネフィットの間にズレがないように注意が必要です。

まとめ

ユーザーの購買(申し込み)行動は、自分で考えるよりもユーザーに直接聞くことで理解できます。

大切なのはユーザー目線(お客様目線)に立つことです。

優れたマーケターは、ユーザーインタビューや行動観察に力を入れています。

そうした施策に予算を使ったり、専門で対応できる環境があれば良いのですが、多くの企業にはそのような環境がありません。

ウェブサイトの改善や運用がなかなかできていないのであれば、ユーザーを深く知ることから始めてみてはいかがでしょうか?

シンプルな手法で、あまり時間をかけずにできる方法として活用していただければと思います。

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